2018-05-28

ハワイ不動産の節税効果とは?減価償却費だけでは節税できない!?

  • Advice

「ハワイで不動産を買って節税する」

そんな言葉を聞いたことがありませんか?

しかし、ハワイの不動産を購入することで、果たして本当にそんなに節税できるのでしょうか?

今回は、具体例を出しながら、ハワイの不動産でできる節税の話をしてみたいと思います。

ハワイと日本の建物の価値の違い


ハワイと日本では土地と建物の価値に対する考え方が、大きく異なります。

日本では基本的に土地の価値が高く、建物の価値は年数の経過とともにどんどん下がっていきます。

それに対してハワイは、土地と建物の価格の割合がエリアにもよりますが、2:8~4:6で建物の比率が高いだけでなく、メンテナンスをきちんとしていれば、年数が経過しても建物の価値はほとんど下がらない、それどころか上がることもあるという特徴があります。

建物価格が高ければそれだけ減価償却費をとれる、これがハワイの不動産が節税につながると言われる理由です。

減価償却費とは


物は年数とともに劣化していくので、その分を償却されたと考えて経費に計上するという税制上の考え方を減価償却費といいます。

不動産では、土地は劣化しませんので建物にだけ減価償却費が適応され、以下のようになります。

建物価格÷耐用年数=1年間の減価償却費


耐用年数分、毎年経費に計上できます。

各建物の法定耐用年数は以下の通りです。

鉄筋コンクリート(RC) 47年
重量鉄骨 34年
軽量鉄骨 19年
木造 22年


そして、新築の場合、この表の通りですが、中古の場合

耐用年数=(法定耐用年数―経過年数)+経過年数×0.2

となります。

築20年鉄筋コンクリートのコンドミニアムを6,000万円で購入した場合の減価償却費は

6,000÷{47-20+(20×0.2)}=1,935,483

約190万円を31年間、毎年経費に計上できるということになります。

このコンドミニアムをバケーションレンタルしていて、毎年の宿泊料の売り上げが240万円くらい出ていたとすれば、そこから190万円を経費として落とせるので、節税効果はありますね。

大きく減価償却できる加速度償却それでは、法定耐用年数を過ぎた物件の場合どうなるのでしょうか?

耐用年数を超えた建物は

法定耐用年数×0.2(小数点は切り捨てられます)

で減価償却をできます。これを加速度償却と言います。

加速度償却は以下のようになります。

鉄筋コンクリート(RC) 47年
重量鉄骨 34年
軽量鉄骨 19年
木造 22年

例えば、築23年の木造の一軒家を1億円で買ったとします。

土地代は3,000万円、建物代が7,000万円なら減価償却は建物代にのみかかるので

7,000万円÷4=1750万円

が減価償却として適応されます。日本での確定申告の際に1,750万円を4年間経費として計上できるのです。

この建物の利益が1年間で100万円だったとすると、利益が出ているにもかかわらず、実際は使っていない1,650万円を損益として税務上処理できます。

海外不動産の不動産所得が税務処理上赤字の場合、日本の所得から差し引くことができるので、これだけ見るとすごい節税効果!となりますよね。

減価償却費だけでは節税にはならない?


しかし、実はこの節税、全員に当てはまるわけではないのです。1,650万円を経費に計上できても、そもそも給与所得や事業所得が1650万円以上なかったらお得感は薄れます。

それどころか、その後にしっかり減価償却費を経費として落としきれずにその物件を売却してしまうと、かえって損してしまう可能性もあるのです。

注意が必要な不動産譲渡所得税

実は、「売却価格ー購入価格=売却益」ではありません。ここからは、気を付けるべき不動産譲渡所得税について解説します。不動産譲渡所得税とは売却した不動産の売却益にかかる税金のことです。

例えば、1億円で買った一軒家が1億1000万円で売れました。この時、売却益は差額の1,000万円と考えがちですが、ここで頭を出してくるのが先ほどの減価償却費です。減価償却費分、建物の価値は減ったと考えられますので、

売却額ー(購入額ー減価償却費)=売却益 1億1,000万円ー(1億円ー7,000万円)=8000万円

となるのです。(実際にはここに購入経費、売却経費、金額によっては譲渡税なども引かれますので、ここでは概算です)

売却益8000万円に譲渡所得税20%~39%がかかりますので、20%なら1,800万円が売却した年に課税されるということです。

減価償却費を毎年500万円以上経費から引かれていれば、それでも節税効果があったと言えますが、毎年300万円しか減価償却費を経費から落とせず、譲渡所得税が1,800万円来たら、節税効果があったとは言えませんね。

加速度償却で節税効果が狙うためには、ある程度所得が必要ということです。

買い換え特例は日本人でも使えるが。。

ハワイには「買い換え特例」という法律があります。不動産を売却しても、一定期間内にその物件以上の価格の不動産を買い替えれば、譲渡所得税は先送りできるというものです。

もちろん、日本人にもこの法律は適用できますので、この買い替え特例を使って、どんどん不動産を買い替えて節税していこう、なんて書かれている記事を見ることもあります。

しかし、このハワイの買い替え特例はあくまでアメリカの法律ですので、アメリカでの納税には確かに適用されますが、日本には適用されません。

日本に居住している以上、しっかり日本の譲渡所得税がかかるので、あまりこの特例のことは考えないほうがいいでしょう。

まとめ


ハワイでの節税は、ハワイで不動産を購入さえすればできるというものではありませんが、買い替えることを考えず別荘として使い、時々バケーションレンタルとして貸し出している人や、加速度償却で大きく節税効果を狙う、ある程度以上所得のある人や法人には有効なようです。

ただ、この海外不動産の加速度償却のスキームは税逃れではないか、という会計検査院から最近問題定義もでているので、今後税法が変わる可能性もあり、注意が必要なところもあります。

ハワイで不動産を買うなら、節税を第一目的と考えるのではなく、ハワイが好きで、資産分散の目的で購入しようと考えるほうがよいかもしれません。

今回は節税の概要について書きましたが、税金は個々の物件の条件によってもかわってきますので、こちらの記事は参考に、詳しくはアメリカの税金の話ができる会計士、税理士にご相談ください。

SEKAI PROPERTYではハワイの不動産の購入についてご相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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