2022-02-01

カナダへの移住方法や費用、仕事の探し方などを徹底解説

  • Advice

移住先として世界的な人気を誇るカナダ。
「移住には憧れるけれど、必要なステップは?」
「仕事や教育、実際はどうなの?」
そんな疑問がありますよね。
この記事では、カナダ移民歴5年の筆者が、移住についてのあらゆる疑問を解決します!

カナダ移住の条件や方法

カナダは60以上の移民プログラムを用意し、さまざまな方法で移民を受け入れています。プログラムごとに条件が異なるので注意が必要です。

各年代におすすめのビザと取得条件

何種類もの移民方法の中でも、年代別におすすめしたいビザ3選をご紹介します。

1.【20~30代におすすめ】カナディアン・エクスペリエンス・クラス
申請から承認までが早い永住権審査システム「エクスプレス・エントリー」の一つ。美容師、シェフ、Web開発者など幅広い職種が認められています。年齢も審査対象で、若い人の方が有利です。

<主な条件>
■カナダで1年以上の就労経験(カナダ職種リストNOCレベルB以上)
■ケベック州以外の場所に住む計画を立てていること
■一定の英語力/フランス語力(求められるレベルは職種によって異なります。ここではNOC Bの場合に必要な語学テストスコアを記載しています。)
・CELPIP-G Speaking 5、Listening 5、Writing 5、Reading 5
・IELTS Speaking 5.0、Listening 5.0、Writing 5.0、Reading 4.0
・フランス語力テストTEF Speaking 226 – 270、Listening 181 – 216、 Reading 151 – 180、Writing 226 – 270

2.【30代以降におすすめ】スタートアップ・ビザ
カナダで起業する人が対象のビザ。求められる語学力が高くないことや、年齢がハードルにならないことが嬉しいポイントです。

<主な条件>
■カナダ国内で起業のための取引が確定している
■移民後半年間に必要な生活費を超える資金力(例えば独身者で$13,213必要。家族の人数に応じて必要金額が増加します。詳しくは政府のサイトにてご確認ください)
■一定の英語力/フランス語力
・CELPIP-G Speaking 5、Listening 5、Writing 5、Reading 5
・IELTS  Speaking 5.0、Listening 5.0、Writing 5.0、Reading 4.0
・TEF  Speaking 225、Listening 180、Writing 225、Reading 150

3.【50代以降におすすめ】ファミリー・スポンサーシップ
カナダ在住のご家族がいる場合は、ファミリー・スポンサーシップを利用して移住できます。お子さんがスポンサーとなり、両親や祖父母を呼び寄せる形になります。

<主な条件>
■スポンサーがカナダで3年以上納税している
■家族の人数に基づく規定の収入がある

スポンサーする人数 収入 
2 $32,270
3 $39,672
4 $48,167

(例えば2人をスポンサーするには2020年では$32,270必要。詳しくは政府のサイトでご確認ください)

■申請可能期間にinterest to sponsorを登録
■カナダ移民局による抽選が行われ当選すると申請可能


永住権を取るには

永住権取得への第一歩は、利用する移民プログラムを選ぶことです。プログラムの見極めが重要な上に複雑なので、不安な場合は、有料の移民コンサルタントに相談すると確実です。
ここでは、エクスプレス・エントリーでの永住権取得プロセスを簡潔に説明します。

1. 必要な書類の準備
■語学テストの結果(CELPIP、IELTS、TEF、TCFのいずれかのスコア)
■学歴証明書(大学、短大、専門学校の英文卒業証明書および英文成績証明書)
■在職証明書(直近の職場からの在職証明書を英文翻訳したもの)
■警察証明書(住民票のある都道府県の警察本部に申請)
■健康診断書(カナダ大使館が指定するクリニックにて受診)
■資金証明書(口座のある銀行支店からのカナダドル表記・英文残高証明書)等

2.エクスプレス・エントリーにプロフィールを登録
政府のサイトでスキル、職歴、語学力などを登録します。

3.ITA(招待メール)が発給されたら永住権を申請
60日以内にオンラインで申請します。

4.申請承認後の流れ
承認されるとCoPR(承認レター)が届きます。その後、面接を完了すれば、永住権を取得できます。国内申請の場合は移民オフィスで面接、国外申請の場合は入国後に簡単な面接をして永住権取得プロセスが完了となります。


カナダ移住にかかる費用

カナダ移住を検討する際、次に心配になる項目は費用ではないでしょうか?実際に移住するにはどのような費用がかかるのか、気になる金銭面についてまとめました。

ビザ申請費用

ビザ申請費用は種類ごとに異なります。主なビザの申請費用は次の通りです。

ビザ 申請費用
Study permit
就学許可証(学生ビザ)
$150
Work permit
就労許可証(就労ビザ)
$155
Visitor visa
観光ビザ
$100
Visitor visa – maximum fee for family
家族のための観光ビザ(最大金額)
$500

詳しくは、政府のサイトでご確認いただけます。

次に、永住権申請費用です。年代別におすすめした3つの永住プログラムで必要な申請費用をまとめました。

永住プログラム 申請費用
エクスプレスエントリー $1,325
スタートアップ・ビザ $2,075
ファミリー・スポンサーシップで親または祖父母をスポンサーする $1,050

配偶者の申請には$1,325、子どもの申請(21歳以下、未婚などの条件あり)
は一人につき $225 それぞれ費用がかかります。
詳しくは、政府のサイトでご確認いただけます。

初期費用

次に、渡航時や入国後すぐに必要となる航空券代や保険代など、初期費用を考えてみましょう。

【飛行機代】
行先と時期によって価格は変動します。一般的に、エコノミーで一人6〜20万円ほどかかります。

・オンシーズン
春夏のカナダは、気候が良く過ごしやすいので観光客に人気があります。春休みや夏休みを使ってカナダに行く人も多く、飛行機代は10〜20万円の高値を保ちます。

・オフシーズン
秋冬のカナダは、気温が低く雪が積もる場所も多いため、観光の閑散期となります。この時期の飛行機代は6〜10万円ほどで、比較的安価に購入できます。

【保険代】
カナダの医療は公的医療保険制度で成り立っており、医療費が基本無料です。永住者を含むすべての国民は、州管轄の保険に加入する必要があります。この保険はBC州ではMSP、オンタリオ州ではOHIPと呼ばれ、州によって呼び方が異なります。ただし、薬代や歯科、眼科治療などは含まれません。
移住後すぐにMSPやOHIPに加入できないこともあるので、それまではビジター保険やトラベル保険のような民間保険($10,000〜)への加入もご検討ください。

生活費

カナダに移住すると、生活費は日本とどう異なるのかが気になるところですね。家賃、食費、外食費について、参考になる情報をまとめました。

【家賃】
現在、BC州バンクーバーの1ベッドルーム・アパートメントの平均家賃は$2,200です。住宅の価格は年々少しずつ上がっており、2021年の平均価格は前年比14%の増加となっています。
3ベッドルームが必要なご家族の場合、バンクーバーのダウンタウンでの平均家賃は、$6,000となっており、ダウンタウン以外の場合、$2,000~$4,000ほどです。

参考 : 北米の不動産会社Zumperによる家賃調査(2021年)

【食費】
現地のスーパーマーケット等で買う食材は、日本と値段が変わらないか、量が多い分安く済むものもあります。参考価格として、バンクーバーでは牛乳(4リットル)が$5前後、卵1ダースが$3.5前後で購入できます。
カナダでは野菜、果物、生鮮食品などの基本的な食べ物に対しては、消費税(GST、PST)がかかりません。これは嬉しいポイントですね。

【外食】
カナダでの外食は、日本より物価が高い上にチップ制度がある分、出費がかさみます。例えば、バンクーバーのラーメン屋さんでは、ラーメン1杯の価格は$16〜18です。消費税やチップを含めると$20を超えることも。日本のようには気軽に外食ができないのが現実です。
ファーストフード店やフードコートではチップを払わなくて良いため、安価に外食したい場合におすすめです。物価の参考として、マクドナルドのビッグマックセットは現在$10前後です。

カナダ移住にかかる費用の特徴

日本と比べて高い費用の一つに、自動車保険があります。BC州では車を持つと、ICBC(保険会社)の自動車保険に加入しなければなりません。5年前の移民直後、私の自動車保険は年間$2,500でした。現在は割引され$1,300となりましたが、日本では年間5万円ほどだったので高く感じます。
参考までに、バンクーバー近郊の一軒家に住む筆者一家(5人家族)の光熱費等を紹介します。

■携帯電話料金−−−$45(私一人の契約)
■インターネット料金−−−$80
■電気代+ガス代−−−$200〜$400(季節により変動)
■水道代−−−$160

賃貸物件では多くの場合、家賃に光熱費が含まれています。ただ、オール電化の物件だと高額な電気代を請求されるケースがあるので注意が必要です。

カナダ移住のメリット

カナダのイメージにはどんなものがありますか?雄大な自然、穏やかな人々、ウィンタースポーツなど多くの良いところがある中で、私が移民として感じるカナダのメリットを以下に3つご紹介します。

メリット①充実した社会保障・福祉

カナダは社会保障・福祉が充実している国です。医療費が無料(歯科、眼科、薬代などを除く)であることを筆頭に、バリアフリーの進んだ社会や充実した年金制度など、さまざまな分野で手厚いサポートが受けられます。
例えば、Old Age Security(老齢年金)という公的年金制度があります。カナダで働いたことがなくても、10年以上カナダに住んでいれば、65歳から最大$642.25受給できます。
また、カナダは安心して子育てができる国でもあります。義務教育期間が長く(BC州では13年間)、無償で高校まで通わせられます。Canada Child Benefitという児童手当があり、日本の児童手当よりも充実しています。収入や子どもの年齢によって支給額は異なり、毎月一人最大で$533もらえます。

メリット②労働環境の良さ

一般的にカナダの労働環境は良く、日本よりもワークライフバランスがとれています。残業はほとんどない企業が多く、残業や休日出勤する場合であっても賃金が発生します。長期休暇を取ることも比較的容易。家族を最優先し、仕事後のプライベートな時間を大切にする文化が根付いていると感じます。

メリット③質の高い教育

OECDによる世界教育水準ランキングで常に上位に入るカナダは、教育水準が高いことで知られています。
公立校の教育が充実しているため、大多数の人が小学校から高校まで公立に通わせています。大学のほとんどが国立または公立で、国際的にもその質の高さは認められています。
さらには、OECDによる教師の給料ランキングでも世界的に上位にランクインするカナダ。教師の待遇の良さは、質の高い教育の土台になっています。


カナダ移住のデメリット

移住は、良いことばかりではありません。慣れ親しんだ日本の便利な生活とのギャップにショックを受けることも多々あります。カナダに住む上での私が感じるデメリットを3つまとめてみました。

デメリット①物価の高さ

住宅や自動車保険を筆頭に、物価が日本より高いことがデメリットの一つです。日本の食材を揃えようと思えば、一般的に日本での価格の3倍かかります。服や日用品も、何でも安く手に入る日本とは異なり価格は高めです。
アルコールに至っては、消費税が高いことも加わり、日本の2、3倍かかります。酒類を販売するお店は限られており、営業時間も長くはないため、日本のように酒類を手軽に買えない点も人によってはデメリットになるでしょう。

デメリット②冬の過酷さ

夏のカナダは、青空が広がり空気も爽やかで過ごしやすい反面、冬の気候は過酷です。
住む場所によって気候は異なるとはいえ、一般的に秋冬の季節になると、バンクーバーでは長く続く雨、トロントやモントリオールなどの地域は積雪量の多さに悩まされます。
ウィンタースポーツを楽しめる方には雪もメリットとなりますが、温暖で晴れが多い日本の冬に慣れている方にとっては鬱々としてしまうことも。温暖さで選ぶなら、ビクトリアのあるバンクーバーアイランドを選ぶと良いでしょう。


デメリット③のんびりした気質

カナダは全体的に、のんびりしています。これはメリットとも言えるのですが、迷惑を被ることもしばしば。宅配や業者が時間通りに来ない、カスタマーサービスの対応がいい加減、公共サービスの手続きに行ったら待ち時間が長いなど、のんびりした気質が至るところに見られます。
カナダののんびり具合は、子どもたちの学校でも感じられます。小学校では9月に新学期が始まりますが、1週目にはクラスがまだ決まっていません。新学期前に夏休みが2か月ありますが、先生方が休みの日に集まって仕事をすることはありません。


カナダに移住した場合の仕事の探し方

カナダに移住して仕事をしたいけれど、「仕事を得るための条件は?」「仕事はどうやって探すの?」など不安があるかと思います。ここからは、お仕事探しで役立つ情報をご紹介します。

仕事をするために求められる条件

カナダで仕事をするために最も重要な条件は、働けるビザを持っていることです。永住権、就労ビザ、ワーキングホリデービザなど、カナダでの就労が許可されているビザがあることが第一条件です。
第二の条件は、ある程度の英語力です。職種によって求められる英語レベルは異なります。オフィスワークの場合は中級以上(IELTSの全項目において6.0以上)の英語力が必要です。
またカナダでは、学歴を採用条件とする企業が多く、日本で高校や大学を卒業していても通用しないケースが多々あります。カナダでハイスクール・ディプロマ(高校修了資格)を取得するために、生涯教育を提供する学校に通う日本人も少なくありません。

仕事の探し方

カナダで仕事を探す方法をご紹介します。

Job Bank(カナダ政府のサイト)
■Indeed、Monster.ca、Craigslist、Kijijiなどの求人サイト
■ビジネス用SNS、LinkedInでの人脈作り、求人検索
■パソナ、人材カナダなどの人材派遣会社への登録
■ジョブフェアやネットワーキングイベントへの参加
■カナダ在住日本人のための掲示板(jpcanada.comカナダ掲示板など)
■興味のあるお店に直接行ってレジュメ(履歴書)を渡す

他にも、政府のサイトで仕事探しに役立つアドバイスが載っているので参考にしてください。
また、カナダには経験豊富な移住支援のプロが、就職活動をサポートしてくれるサービスがあります。具体的には次のことを支援します。

■仕事探し
■住まい探し
■子どもの学校への入学手続き
■語学力アセスメントと無料の語学教室への登録

わからないことだらけの新移民には、大変心強いサービスです。無料ですのでぜひご利用ください。

移住や仕事探しにおすすめの州

仕事探しの観点からおすすめする州は、人口の多い、トロントのあるオンタリオ州と、バンクーバーのあるブリティッシュ・コロンビア(BC) 州です。日本人を含むアジア人の人口も多く、比較的仕事を探しやすい地域です。
フランス語圏のモントリオール(ケベック州)の人口は、トロントに次ぐ大都市ですが、日本人の数は多くありません。日本食レストランなどのビジネス展開を考えている場合は、モントリオールのような、人口は多いけれど日本人が少ない地域を狙うのも一つの手です。


カナダに子連れで移住する場合の教育環境

カナダの教育は世界的に見ても水準が高く、多くの留学生がカナダに来て学んでいます。実際にカナダの教育はどのように魅力的なのでしょうか。

学校教育

カナダの学校教育で素晴らしい点の一つは、多様性を受け入れる土台があることです。

■古くから移民が多いため、さまざまな文化を学ぶ教育が充実しています。
■発達障害などの特別な支援を必要とする子どもたちには、Educational Assistantという先生がそばについて支援をしてくれる制度があります。
■何らかの事情で学校に通えない子供たちには、ホームスクーリング(家庭学習)が認められており、公的カリキュラムをインターネットで学ぶ体制が整っています。

また、カナダには受験制度がないことも特徴的です。学力だけでなく子供たちの個性が尊重され、のびのびと学ぶ機会が与えられています。高校では、学校のカリキュラムにボランティア活動が組み込まれており、地域社会に貢献する若者を多く輩出しています。

英語力

移民大国カナダでは、英語ができない子どもたちは珍しくありません。学校にELL(English Language Learners)と呼ばれるサポートが必ずあり、英語を第二外国語とする子供たちは、継続した言語サポートを無料で受けられます。具体的には、授業中にELLの教室に行って英語の基礎を学んだり、教室内にELLの先生が来てくれて勉強のサポートをしてくれたりします。
吸収力の高い子どもたちは、親が思う以上のスピードで英語を習得します。特に、小学校低学年のうちはプレイタイムが多く、友達と遊びながら英語を覚えていきます。私の周りでは、子どもの英語力よりも日本語力で悩んでいる親の方が多いほどです。

人気の習い事

カナダで人気の習い事は何といってもスポーツです。塾や公文、ピアノ等もありますが、一般的にポピュラーではありません。
市場調査会社IpsosがGlobal Newsのために行った調査(2018年の記事)によると、カナダ国内で人気がある習い事TOP3は、

1.スイミング
2.サッカー
3.アイスホッケー

でした。カナダといえばホッケーというイメージが強いですが、ホッケー用品が高額で親の負担が大きいことからこのような順位となっているようです。

まとめ

ここまで、カナダに移住するための方法や諸費用、仕事の探し方などをご説明しました。自然豊かで平和なカナダは、移住先として自信を持っておすすめできる国です。
移民に寛大な国カナダには豊富な移民プログラムがあります。もしカナダにピンときたら、憧れの海外移住への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。