2022-06-16

オーストラリア不動産投資の特徴とは?最新の不動産価格や購入時の注意点

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先進国でありながら人口が増加しているオーストラリアは、不動産投資先の国としても注目されています。しかし、オーストラリア不動産の特徴や、外国人の購入規制、注意点などを把握しないまま投資を始めると、失敗につながる危険性があります。

そこで、「将来的にオーストラリアで不動産投資を始めてみたい方」や、「オーストラリアを候補の1つとしている方」向けに、特徴を分かりやすく解説します。不動産の購入方法もまとめているので、今後の参考にご一読ください。

オーストラリア不動産投資の特徴

オーストラリアの不動産投資を始める前に、どのような特徴があるのかを押さえておきましょう。

移民政策による人口の増加

オーストラリアは、海外から移民を積極的に受け入れている国です。オーストラリアの合計特殊出生率は、2010年の1.954から、2015年は1.657、2020年は1.581まで減少しました。(※1)

一方で、オーストラリアの総人口は2000年の 1,900万人から、2018年には2,500万人まで増加しています。このうち、オーストラリアへの移民流入数が、3分の2を占めると言われています。(※2) 出生率は低いものの、移民を中心に人口が年々増加していることから、不動産投資で賃貸需要を見込みやすいのが特徴です。

Build-to-Rent(BTR)という賃貸物件プロジェクトが進んでいる

Build-to-Rentとは、ディベロッパーが不動産の所有権を保有し、長期賃貸契約で入居者に貸し出される集合住宅(賃貸マンション)のことです。日本では一般的な賃貸マンションですが、オーストラリアは「自分の家を持つ」という意識が強く、戸建て住宅や分譲型のマンションに居住するのが主流でした。

一方で、住宅価格が高騰しているなかで、賃貸マンションが注目されています。州レベルでBTRプロジェクトを推進する動きもあり、ニューサウスウェールズ州では、一定条件を満たすBTR開発案件において、外国人が取得する場合の印紙税や土地税のサーチャージを免除することが決定されました。今後、オーストラリアの不動産投資スタイルに、大きな変化が生まれる可能性があります。(※3)

シドニーやメルボルンなどの都市部がメイン

オーストラリアは、日本の国土の約20倍の広さがありますが、人が住めるエリアが限られています。主にオーストラリア東部のシドニー、メルボルン、ブリスベンといった都市が上位に挙がります。

・第一位:シドニー(約531万人)
・第二位:メルボルン(約507万人)
・第三位:ブリスベン(約220万人)

不動産投資についても、人口が多いほど、賃貸需要や不動産価格が上昇する傾向にあります。オーストラリアで不動産投資をする場合には、上記の都市を検討してみてください。

キャピタルゲイン税と所得税が高い

オーストラリアに居住している場合、高いキャピタルゲイン税と所得税に注意が必要です。所得税は家賃収入の額に応じて、32.5〜45%の税率で課せられます。なお、オーストラリアと日本は租税条約を締結しており、非居住者の方は外国税額控除制度が適用され、海外で支払った税金を国内で控除できます。

また、不動産売却時に課せられるキャピタルゲイン税については、通常の所得に含まれ、所得税同様に32.5%〜45%の税率です。日本国内の不動産投資におけるキャピタルゲイン税が20.315%(5年を超える長期譲渡所得に該当する場合)であることを踏まえると、オーストラリア不動産の税金は非常に高いと言えます。(※4)

シドニーの表面利回りは約3%

オーストラリアの不動産投資で、利回りを期待する方は注意しましょう。シドニーの場合、2019年の表面利回りは、2.8%~3.7%との調査結果が出ています。表面利回りから、税金、手数料、管理費などを差し引くと、実質利回りがさらに下がる可能性があります。(※5)

移民増加による賃貸需要が高く、空室を避けやすい一方で、効率的に収入を得られにくいのがデメリットということです。経済発展が著しい新興国では、利回りが6%を超えることもあるため、投資先を入念に比較しましょう。

住宅価格が高騰している

オーストラリアの主要都市である、シドニーやメルボルンなどでは住宅価格が高騰しています。2020年のデータによると、シドニーにおける不動産価格の中央値は$872,934(約8,000万円※)でした。メルボルンでも、不動産価格の中央値は$689,099(約6,400万円※)と高く、年々高騰が続いています。(※6)

また、オーストラリアの不動産を購入するにあたって、金融機関から融資を借り入れることは難しく、実質的にローンを組まずに現金で購入することとなるため、相当の資金を準備しなければなりません。

一方で、オーストラリアとは対照的に、東南アジアの不動産は1,000万円台で購入可能な物件も多くあります。東南アジアについてもっと知りたいという方は、以下の「東南アジア 移住4カ国比較ガイド」から無料で資料をダウンロードできます。投資先の選定に、ぜひご活用ください。


オーストラリアで不動産投資する方法

今後、オーストラリアで不動産投資を始めてみたい方は、実際に不動産を購入するまでのステップを頭に入れておくと安心です。5つの購入ステップを簡単にご紹介します。

ステップ1.購入希望の不動産選定

はじめに、購入希望の不動産を選定します。前述したとおり、シドニーやメルボルンに人口が集まっていることもあり、必然的に住宅選びも同エリアが中心になります。

また、同時に予算も検討しましょう。物件の価格だけでなく、不動産会社への手続き費用や弁護士費用なども発生することから、多めに資金を準備しておきます。

ステップ2.申込書の記入

お気に入りの不動産を見つけたあとは、実際に購入手続きに移ります。現地ライセンスを保有する不動産会社を通して、申し込みを進めることとなります。

不動産購入の申込書を記入する前に、「物件情報と相違がないか」「物件の構造に問題がないか」といったポイントを確認しておくようにしましょう。

ステップ3.不動産売買契約の手続き

オーストラリアの不動産売買では、買主と売主双方に弁護士が付きます。お互いに弁護士を立てた状態で、不動産取引における諸条件の確認、特約停止条件の確認、物件の売却同意、購入の署名などを公正に進めます。

ステップ4.決済

不動産売買の手続きが完了したあとは、決済に移ります。決済が完了した後に、不動産が引き渡されます。

また、可能であれば、現地に住むオーストラリア人と同行することで、地元の人にしかわからないような問題点を見つけ出せます。

ステップ5.不動産の登記と引き渡し

決済を済ませると、弁護士による登記移転手続きが行われます。状況にもよりますが、登記移転手続きに30日間ほど要する場合があります。

上記の5つのステップ以外にも、オーストラリアの物件ページや、所有者との交渉、現地滞在時のコミュニケーションなどで英語を使わなければなりません。とくに、申込書や契約書に誤った情報を記入すると、トラブルに発展する可能性があります。スムーズに不動産購入を進めたい場合には、日系の不動産会社を経由して手続きを取ることをおすすめします。

オーストラリア不動産投資で知っておくべき注意点

オーストラリアで不動産投資を始めるにあたって、いくつか注意点があります。非居住者に対する購入規制が設けられており、1つ1つ丁寧に調べるようにしましょう。

FIRBの許可をもらう必要がある

オーストラリアで外国人が不動産取り引きを行う場合には、FIRB(Foreign Investment Review Board)の許可が必要です。2020年には、FIRBのルールに違反したとして、外国人投資家が250,000豪ドル(約2,300万円)の罰金が課された例があります。(※7)

なお、FIRBへの申請はインターネットでも行えます。オーストラリアの不動産取引において、FIRBが重要な役割を果たしていることはよく知られており、その申請方法についての情報を集めるのは難しくないでしょう。

ただし、FIRBの許可は必要不可欠な手続きとなるため、信頼できる不動産エージェントの協力のもとで行ったほうが確実です。

「非居住者」は原則として新築物件のみ(中古物件は不可)

日本に住みつつオーストラリアへ不動産投資を行う場合、「非居住者」の外国人ということになります。

FIRBの許可を取得した後でも、非居住者が購入できるのは原則として新築物件のみです。設計段階や建築中の新築物件の場合、全販売戸数の50%を超えて外国人が購入することは禁止されているため注意が必要です。

「非居住者」が新築物件以外を購入できる場合

非居住者の外国人が購入できるのは原則として新築物件のみですが、一つだけ例外があります。FIRBが指定した特別区(Integrated Tourism Resort)であれば、中古物件の購入や譲渡も可能です。

この特別区は基本的に観光リゾート物件です。非居住の外国人が不動産投資を積極的に行うため、特別区以外の地域よりも不動産価格は高めとなる傾向があります。ただ、人気の高いエリアに自分の物件が所有できるのは大きなメリットでしょう。

観光地に別荘を保有したい人や、コンドミニアムなどを購入して賃貸経営を行いたい人はこの制度を積極的に利用することをおすすめします。

「居住者」はビザ期限が切れるときに不動産を売却

オーストラリアに居住している方が不動産を購入した場合、ビザが切れるタイミングと同時に、不動産を売却するルールがあります。

学生ビザや就業ビザを取得して、12カ月以上滞在できるようになると、その人は居住者となります。ビザの延長や、FIRBの許可を得れば物件の所有を続けることも可能ですが、そういった手続きを行わずに母国に帰国する場合、購入した物件は売却しなければなりません。なお、永住権を持っている方は、制約を受けることなく、不動産を保有し続けられます。

弁護士を雇う必要がある

オーストラリアの不動産売買は、売主と買主の双方がそれぞれ弁護士を雇って、その弁護士同士が依頼人に契約書などの説明を行いながら、手続きを進めていくことが一般的です。そのため、オーストラリアで不動産投資を行う場合には弁護士を雇う必要があります。

不動産の売買契約を結ぶ際には、契約書への署名をはじめとして、「INITIAL DEPOSIT(申込金)」や「HOLDING DE`POSIT(契約手付金)」の支払い、中古物件であれば欠陥の有無をチェックするなど、さまざまな手続きを進めていかなければなりません。弁護士はこれらすべてに関わり、売主と買主の利益を代表する法的な立場を守ることになります。

弁護士の選定や弁護士費用の支払いなどは依頼人にとって負担となるかもしれませんが、ひとつひとつの手続きがきちんと法律に則って行われるのはメリットです。

「ヘリテージ・リスト」には注意!

オーストラリアでは、歴史的・文化的に価値の高い建築物を保存する見地から、「ヘリテージ・リスト(遺産リスト)」の作成を行っています。このリストには住宅も含まれ、所有者であっても改築や増築を行うことが禁止されるため注意が必要です。

購入を予定している物件がヘリテージ・リストに記載されている場合、通常であれば不動産会社のほうから情報提供があります。ただし、住宅を購入した後でヘリテージであることが判明し、改築工事が行えなくなったケースもあるようです。こういった事態を避けるためにも、不動産購入時に確認しておくことをおすすめします。

融資は物件価格の6~7割ほどしか受けられない

オーストラリアの不動産投資では、融資をほぼ受けられないと思って差し支えありません。非居住者でも現地の金融機関に相談することは可能ですが、厳しい審査基準を通過するのは難しいためです。

また、仮に融資を受けられたとしても、不動産価格の6~7割ほどが上限です。オーストラリアの不動産価格は、都市部を中心に6,000万円~8,000万円かかるため、現金を手元に用意しておく必要があります。

海外不動産投資でおすすめの国3選

オーストラリアの不動産は、すでに価格が高騰していることや、外国人の購入制限があるため、投資先としてはあまりおすすめはできません。とはいえ、どの国が今後の不動産投資に適しているのでしょうか。オーストラリアの不動産と比較しながら、不動産投資におすすめの国を3つ紹介します。

カンボジア

「貧しいイメージ」を持たれているカンボジアですが、近年、目覚ましい経済発展を遂げている国です。新型コロナウイルスの影響で一時的に経済が落ち込んだものの、国際通貨基金の調べによると、2021年の経済成長率は2.2%、2022年は5.1%まで回復すると予測されています。(※8)

カンボジアは、非居住者の外国人でも現地金融機関の口座を米ドル建てで開設できるのが特徴です。不動産価格についても、首都プノンペンで1,000万円~と比較的安く、今後のキャピタルゲインを期待できます。

カンボジア・プノンペンの物件一覧

フィリピン

フィリピンも経済成長が著しく、今後の不動産価格上昇によるキャピタルゲインを狙えます。また、人口の増加傾向が続いており、2014年に1億人を突破し、2050年には1億4,000万人まで増えることが予想されています。(※9)

地理的条件もよく、日本からも飛行機で3時間ほどと近いため、実際に現地を訪問しやすいのがメリットです。24時間のセキュリティ体制やプール付きといった条件でも、1,000万円台から購入可能です。

フィリピンの物件一覧

マレーシア

マレーシアは、14年連続で日本人が移住したい国No.1にも選ばれた国です。外国人は100万リンギット(約2,900万円※)以上の物件しか購入できないという制限がありますが、今後の経済発展次第では、キャピタルゲインの獲得を狙えます。

また、クアラルンプール市内のエリアによりますが、4%~5%の利回りを狙うことも可能です。現地法人を設置している日系不動産も多く、非居住者でも安心して投資できるのが魅力です。

マレーシア・クアラルンプールの物件一覧

※1リンギット=29円で計算

まとめ

オーストラリアの不動産投資は、法整備が整っている点や、先進国でありながら人口が増加している点がメリットに挙げられます。しかし、すでに不動産価格が高騰していることもあるほか、表面利回りもあまり高くないことから、投資先としてはあまりおすすめはできません。

そこで、今後の成長性を考慮し、東南アジアの不動産も検討してみてください。当社では、マレーシアとカンボジアに現地法人を設立しており、お客様に安心して不動産を購入して頂ける環境を整えています。少しでも東南アジア不動産の投資にご興味がある方は、ぜひお問合せください。

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※1:Australian Bureau of Statistics「Births, Australia」
※2:花岡和聖氏氏「近年のオーストラリアにおける新規流入移民の居住地分布」
※3:三井トラスト基礎研究所「オーストラリアの住宅市場で注目されるBTR」
※4:JETRO「オーストラリア税制」
※5:Global Property GuidRental「returns on apartments in Sydney are low, at 2.8% to 3.7%」
※6:BudgetDirect「Australian property prices 2020」
※7:Australlian Taxation Office「Residential real estate purchases by foreign investor attract $250,000 penalty」
※8:JETRO「需要拡大などを背景に景況感は大幅なプラスに(カンボジア)」
※9:経済産業省 医療国際展開カントリーレポート