2018-07-09

フランスのアパルトマンが魅力的な理由。賃貸・購入情報まで解説!

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海外に短期~長期滞在するなら、リビングルームやキッチン、全家具完備のコンドミアムと呼ばれる滞在型ホテルが旅慣れた旅行者の間で人気となっています。フランスではコンドミアムといった呼称は存在せず、ホテル施設を含む分譲マンションを総じて「アパルトマン」と呼び、居住空間として提供されています。

大都市やリゾート地に滞在するのならアパルトマンの賃貸や購入が断然お得です。フランスのアパルトマンの魅力、どんな種類があってどれが主流で人気があるのか、幾つかの角度から紹介します。

フランスのアパルトマンの魅力


フランス語の「アパルトマン」という響きからして、文化的な香りやお洒落なイメージがありますが、その魅力の一つはそのイメージ通りの洗練された外観とインテリアにあります。

歴史と風格ある外観

アパルトマンにも中古物件、新築物件はありますが、どちらも外観はヨーロッパの伝統と粋を感じさせる、重厚で格式ある雰囲気をたたえています。フランスでは建築基準法の規制が厳しく、高さ・色・デザイン制限など、街並みと調和した外観が義務付けられているため、悪目立ちせず街全体に自然に溶け込んでいるのが特徴です。 

中古アパルトマンなら13世紀まで遡るアパルトマンも存在したり、石文化ならではの保存の良い建築物が多数ありますし、新築アパルトマンなら伝説の仏人建築家ル・コルビュジエの発想を踏襲した、機能的で斬新なアパルトマンが次々と登場しています。 

古いアパルトマンには中庭がある物件も多く、中世的なデザインが施されたり、新しいアパルトマンになると、造園デザイナーによる広々とした庭園が敷地内に内設され、大都市にいながらリゾート感を満喫できる作りになっています。

歴優雅でロマンチックな中古アパルトマン


歴史建造物に指定されているような中古アパルトマンは、エントランスから部屋のインテリアに至るまで風雅な装いで、古いタイルや伝統的な木目の床が施されたり、ドアや壁のセンスもクラシカルで、貴族的な雰囲気を漂わせています。

歴機能的でスタイリッシュな新築アパルトマン

戦後に新築されたアパルトマンもそれぞれの時代にあったデザインが特徴的ですが、いずれも機能性とデザイン性に優れ、高い天井や広い間取りやベランダの設置など、開放感を感じる作りになっています。

歴共同管理システム「サンディック」


フランスのアパルトマンは「サンディック」と呼ばれる組合制の管理システムを導入しています。

ほとんどのアパルトマンが外部の専門組合に管理を依頼しており、そこから派遣された管理人が住み込みで建物全体の安全管理を仕切っています。ゴミ収集から建物公共部の清掃・修理まで、管理人が全て行ってくれるので住人は安心して楽に過ごすことができます。

フランスのアパルトマンの種類


フランスでは一般的に台所やダイニングを含め、2部屋(2P)以上ある物件を「アパルトマン」と呼び、1部屋しかないワンルーム(1P)スタイルは広さに関わらず「ステュディオ」と呼んで区別しています。

ステュディオ

キッチン、バスルームのついたワンルームのことですが、中には広い物件も多々あり、一人で住むなら快適でリーズナブルです。

アパルトマン

日本の1DKや1LDKにあたる間取りもアパルトマンと呼ばれます。部屋とリビング・ダイニングが分かれているのが特徴で、機能的でプライベート空間を確保できる利点があります。新建築の最上階物件だと、庭園付きの物件もあり、都市の真ん中で自分だけの公園を満喫できます。

メザニン

アパルトマンの中でも部屋が上下2層に分かれているタイプをメザニンと呼びます。階下にリビングやキッチン、階上に寝室があるといった機能性を備えているのが特徴です。

通常の階段を上って階上に上がるタイプもありますが、天井上部に寝室を設置したステュディオもメザニンと呼ばれます。リビングを広々と効率良く使いたい人に人気です。

フランスのアパルトマン賃貸か購入か


フランスに長期滞在を予定し資産がある人なら、「賃貸か購入のどちらがお得か」という選択肢で悩まれると思いますが、資産があるならば、ズバリ「購入」がお得です。フランスでは中古・新築に関わらず、不動産の価値は上がることはあっても下がることはほとんどありません。 

サンディックがアパルトマンの管理や修理を年中請負っているので、建物が経年劣化することはほとんどなく、築年を重ねてさらに重厚感が増す物件が多々あるのです。そのため、投資のためにアパルトマンを購入し、中には複数のアパルトマンを所有し賃貸するフランス人や外国人も少なくないのです。 

移住を見越した長期滞在をするなら断然購入をお薦めします。アパルトマンに長期不在の予定がある人でも、サンディックによって安全に建物管理されるので、不在中の盗難や劣化の心配もありません。

フランスの賃貸アパルトマンの種類

フランスではアパルトマンの購入が長期的視野ではお得ではありますが、税金や管理費の支払いといった諸々の義務も発生するため、事務的な面倒を避け気軽に滞在を楽しむなら賃貸も悪くありません。

ホテルリッツのスイートを生涯賃貸していたココ・シャネルのように、優雅な賃貸生活を選択するのも、捨て金も気にならない資産家ならではの特権と言えるでしょう。 賃貸物件には主な分類として、「Meublé/家具付き」と「Sans Meublé/家具無し」に分かれます。

Meublé/家具付き

家具付きの賃貸物件は家具無しに比べ、3~4割ほど割高になります。家具はベッド・ソファ・テーブルなど、室内に合わせた最低限の家具の他、冷蔵庫・洗濯機・テレビといった必要な電化製品が完備されています。

他にも掃除機・アイロン・食器なども揃い、すぐに生活できる環境が整っているのが特徴です。それぞれの家具を揃える煩わしさがなく、家具の劣化による修理や交換は家主が責任持って処理してくれるので安心です。

とはいえ、家主によっては退去時に細かくチェックし、自分の家具に小さな傷を見つけては多額な損害賠償金を請求する悪徳家主もいるので注意が必要です。

Sans Meublé/家具無し

そんな他人の家具を必要とせず、部屋には何もない状態のアパルトマンが家具無し物件です。もちろん、家電もついていません。そのため、家具付きに比べ3~4割割安になります。 

家電から家具までを全部揃えるのは不便ですが、全て自分の所有物になるのですから、長期滞在を予定しているなら家具無しがお得と言えます。最初に必要な電化製品やベッドなどの最低限の家具を購入後、自分好みの家具をゆっくり選んでいくのも暮らしの楽しみとなるでしょう。

 近年ではネットで簡単に家具を購入できますし、フランスサイト「Le Boncoin」などの口コミ販売も盛んで中古家具を安く購入できたりします。フランスの日本人コミュニティサイト「MixB」や「Frjapon」では、「帰国売り」の広告が頻繁に出されており、必要な家具を一括で購入することもできます。

自分が退去する際にも、買った家具をこうしたサイトで売却処分することも簡単にできるのです。

フランスで賃貸物件を探す


旅行滞在型サイトで探す

近年短期滞在者にも人気なのが、家具付きアパルトマンをホテル感覚で探すことができるサイトです。主なもので、Airbnb、VRBO、HomeAwayなどがあり、ブッキングコムなどでもアパルトマンホテルを提供しています。「短期滞在を繰り返して長期的に滞在する」人には一つの選択肢ではあります。

不動産屋で探す


フランスの不動産屋で探すのは一番確実で希望に見合う物件を探してくれます。都市部の不動産屋では英語も通じますし、パリなどの大都市では日本語が通じる不動産屋もあります。

家主との仲介にも入ってくれるため、家主がフランス人でも英語や日本語で要望を伝えることができたり、修理の必要がある場合も不動産屋が一切を請け負ってくれます。ただ、毎月の賃貸料に手数料が含まれるため、賃貸料は割高になります。

雑誌やネット広告で探す

フランスサイトやフランスの日本人コミュニティサイトでも賃貸物件を多数案内しています。日本人サイトでは家具付き物件が主流ですが、フランスサイトでは家具無し物件も多々あり選択肢が豊富です。

フランスの賃貸契約の手続き


賃貸手続きは日本とほぼ同じ手順と考えて結構です。不動産を通した場合は不動産が仲介してくれます。

契約時に必要な書類

1.パスポート(コピー) 2.支払い証明書給与証明や銀行残高証明などを要求されます。 3.保証金通常2か月分ですが、大家によって不要だったり1カ月~3ヵ月分など差があります。退去時に問題なければそのまま返却されます。

重要な現状確認


契約書を交わして、入居当日には「エタ・デ・リュー」と呼ばれる「現状確認」を行います。これは家具無し、家具付きに関わらず必ず行われるもので、損壊や故障箇所は勿論、傷やシミなど小さな項目までチェックします。

入居時チェックされなかった場所に退去時に問題があれば、修理費が請求され、家主によっては膨大な修理費を請求する場合もあるので、最初が肝心な重要な手続きになります。 「エタ・デ・リュー」のチェックが終わると鍵を受け取り、借主としての新居生活がスタートします。

借主の義務事項

借主として生じる義務に以下のものがあります。

  1. 住民税の支払い
  2. 毎年1月1日にそのアパルトマンに居住した借主は、その年の住民税を翌年支払う義務があります。家主は別途家主税を払いますので、この住民税は借主の義務となります。
  3. 住宅保険の加入
  4. 借主は住宅保険に加入の義務があります。特にフランスのアパルトマンは水回りの問題が多く、自分のアパルトマンからの水漏れで階下や公共スペースに被害が及んだ場合や、借主に責任がなくても上階の住居から水漏れなどがあった場合など、各アパルトマンが契約する保険会社間で修理工事や修理費支払い調整が行われ、住人の手を煩わせることなく手続きや修理が進行されます。
     これも家主は別途家主としての保険に加入しているため、借主の義務となります。

  5. その他の税金支払い
  6. 全ての賃貸物件ではありませんが、中にはTV税、ゴミ税などの支払いが生じる契約もあります。多くの賃貸物件はTV税やゴミ税は家主が自宅と一括して支払っているので、支払いが免除される場合がほとんどです。

家賃の支払い方法


家賃の支払いは銀行振込や自動振り込みが一般的ですが、銀行小切手の送付も受け付けてくれます。支払日は前月末までが一般的です。

退去と契約解除

賃貸契約時に入居期間を記入し、契約終了日が退去日となります。万一、契約終了日前に退去を希望する場合は、2カ月前に郵便局から「書留め」でその旨を郵送することが法律上義務付けられています。契約終了前に退去する場合、家主によっては違約金が発生する場合がありますので、最初の契約時で確認することをおすすめします。

フランスのアパルトマン購入


移住を見越した長期滞在をするなら、また同じ場所に何度も戻ってくるのなら、上記でご説明した通り、不動産の購入をお薦めします。フランスでの不動産購入については、また別の章で詳しくご紹介します。

まとめ


以上、フランスのアパルトマンの賃貸情報をご紹介してまいりました。移住を視野に入れた長期滞在であれば、賃貸より購入がお得ですが、その地に実際に住んでみないとわからないという未知要因もありますから、最初は賃貸で暮らして様子見するというのも賢明な選択かもしれません。 

アパルトマンを含め、フランスの不動産購入については「フランスで不動産を購入する方法を解説!」の章で詳しくご紹介してまいります。

エリカ・ド・ラ・シャルモント/Erika de la Charmante
英国在住後フランスに長年在住している日本人女性。夫はフランス人。フランスに複数の不動産を所有し、サイドビジネスとして賃貸業も手掛けています。日本人的な視点を尊重しながらフランスの視点も取り入れ、フランスのお薦め不動産物件やフランスの移住方法など日本の皆様に詳しくご紹介してまいります。