2018-07-23

中国の不動産価格を徹底調査!価格推移からエリア比較まで

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日本では不動産に課せられる固定資産税がありますが、中国ではこのような諸税は特に設けられていません。

しかし、今後は不動産税の導入が検討されていくほか、住宅政策として投機的売買の抑制や、初回住宅購入者のサポートを重視するなど、不動産関連について様々な動きが出始めています。

このような取り組みは不動産価格にも影響されていくのが必至でしょう。そこで今回は、中国の不動産価格やその推移にスポットを当てて現況を解説していきたいと思います。

中国の不動産市場の状況と価格推移は?


中国住宅市場の沈静化に向けた取り組みを2年間にわたり継続している同国の政府ですが、国家統計局が発表したデータをブルームバーグが独自に推計した結果、新築住宅価格が3カ月ぶりに大きな上昇を示していることがわかりました(2018年3月)。

調査対象となった70都市のうち55都市で上昇しており、前月比ではプラス0.42%。最大の伸びを見せたのは購入抑制策がゆるい小規都市で0.94%の上昇を示しており、中国当局のスラム再開発策が需要を押し上げる結果を招いたと見られています。

さらに、大都市の新築住宅価格は平均0.1%上昇し8カ月ぶりに値上がる結果に。上海は0.2%、北京も0.1%上昇しました。不動産バブル崩壊を抑えようと様々な取り組みを実施する中国当局の動向は、さらに注目が集まる状況と言えるでしょう。

出典:China's Home Price Gains Accelerate Led by Smaller Cities - Bloomberg

他国と比較したときの中国の不動産価格は?


次に他国との比較による、中国の主要都市における不動産市場のトレンドを見てみましょう。

日本不動産研究所の第 10 回「国際不動産価格賃料指数」(2018 年4月現在)の調査結果によると、中国国内だけでなく世界的なレベルで見ても、オフィス価格の上昇率が最も大きかったのは前回に続き「香港」。

前年比で9.0%増と、年間上昇率が 1 割を超えています。この背景には、香港に加え、中国本土からの投資需要も活発になった今、高額物件の取引がさらなる価格上昇を引き起こしていると見られています。

図:中国各都市におけるオフィス価格指数・対前回変動率の比較

出典:日本不動産研究所の第 10 回「国際不動産価格賃料指数」(2018 年4月現在)

一方、マンション価格についても香港は世界で最大の上昇率7.1%増を示しています。マンションのカテゴリーでも需給が供給を上回る市場環境となっている香港では、中国本土からの投資による価格上昇が拍車をかけています。


図:各都市におけるマンション価格指数・対前回変動率の比較

出典:日本不動産研究所の第 10 回「国際不動産価格賃料指数」(2018年4 月現在)

中国3つの注目都市。香港、上海、北京の不動産価格を比較


続いて、中国でも首都・北京、特別行政区の香港、そしてこれら2大都市と並ぶ中国最大の都市の1つ上海の不動産価格を比較してみたいと思います。

下記のグラフは、東京丸の内・大手町地区にあるトップクラスのオフィスの価格を「100.0」 とした場合の各都市の価格・賃料水準の都市間比較(2018 年 4 月現在)です。

今回は中国の各都市に注目して見てみましょう。香港は「194.9」と断トツのトップで、上海「50.2」とは4倍近く、北京「36.9」と比較した場合は約5倍の高さとなっています。

図:中国各都心地区における最上位クラスのオフィス価格水準の比較

(出典:日本不動産研究所の第 10 回「国際不動産価格賃料指数」(2018年4月現在)

一方、マンションの価格水準はどうでしょうか?

東京港区元麻布のハイエンドクラスのマンション価格を「100.0」とした場合、ここでも香港が「193.9」という価格水準で他の中国都市を圧倒していることがわかります。マンション価格の場合は上海「135.4」、北京「108.8」と香港と比較しても半分程度の価格差となっており、オフィスの価格水準とは異なる結果が出ています。

図:中国各都心地区における高級マンション価格水準の比較

出典:日本不動産研究所の第 10 回「国際不動産価格賃料指数」(2018年4月現在)

香港における不動産価格高騰の背景には、中国本土からの投資マネー、低金利、住宅の需給バランスが挙げられます。香港政府による不動産価格の抑制策はほぼ機能しておらず、現地香港人にとっても自分の住居購入もできない状況になりつつあるほど。香港政府による不動産価格抑制策の強化は引き続き行われていくと見られます。

まとめ


以上、中国の不動産価格やその推移について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

不動産バブル崩壊に対し強い危機感を抱く中国当局ですが、不動産税の導入検討も含め、不動産バブル崩壊抑制の取り組みに影響されるのは不動産所有者と言えるでしょう。

このような状況の中、中国で不動産購入を行う場合には、現地の不動産事情を知る信頼できる日系パートナーがいると頼もしいものです。

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