2021-10-15

海外不動産の売却ステップを解説!注意点や売却時の税金についても紹介

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「海外不動産の購入についてはわかったけど、売却したい時はどうするの?」

「海外に不動産を所有しているけど、どうやって売ったらいい?」

「海外の不動産を売却した時、税金はかかる?」

など、海外不動産に興味がある方は売却に関しても色々と疑問があるでしょう。

今回のテーマは、海外で所有している不動産の売却です。海外不動産の一般的な売却の流れから注意点、売却時にかかる税金や諸費用について解説していきます。

海外の不動産を売却するための各ステップをチェック

はじめに、海外不動産売却の流れを見てみましょう。

東南アジアの代表例としてマレーシアを、アメリカの例としてカリフォルニア州を挙げてみました。

マレーシアで不動産を売却するための10ステップ

  1. 物件の売却査定
  2. 不動産会社の選定
  3. 売却依頼
  4. 販売活動
  5. 購入申込書の受け取り
  6. 売却申込書の提出
  7. SPA(Sales and Purchase Agreement)にサイン
  8. 買主の購入申請
  9. 残代金支払い
  10. 買主への引き渡し

マレーシアの場合、買主が決まった後、売主と買主の間で売却条件がまとまったところで「SPA」と呼ばれる契約書を作成します。この作業に関しては現地の弁護士に依頼する必要があります。

ほとんどの場合、担当の不動産会社が紹介してくれるので心配はいりませんが、手付金として不動産売買価格の10%を弁護士に支払わなければならないため、その出費を念頭に置いておきましょう。

【関連記事】:マレーシアで不動産を売却するための10のステップ【査定相談受付中】

カリフォルニアで不動産を売却するための8つのステップ

不動産エージェント選定
売却価格の設定
必要経費の見積もり
売却に向けての準備
市場に売り出す
購入希望者からのオファー審査・受理
売却前の諸手続き
売却完了

アメリカで不動産を売却する場合ですが、不動産引き渡し前の事務手続きは「エスクロー」と呼ばれる第三者機関に託することになります。エスクローとは、売主、買主との間に入り、公平な取引を仲介する会社です。

アメリカでは西海岸や中部の地域でエスクロー会社を使う州がほとんどですが、東海岸と南部では弁護士を仲介業者としていることが多くみられます。

【関連記事】:アメリカで不動産を売却するための8のステップ。税金についても解説!

海外不動産売却の流れの中で気をつけたいポイント

次に、海外不動産を売却する課程におけるポイントを挙げています。

不動産の売却は不動産会社やエージェントの仕事と決めつけずに、自分自身もその取引の中の一員となる心構えが必要です。

1.インターネットで売却価格をリサーチする

まず、所有している不動産の売却意志をエージェントに示す前に、自分自身でインターネットを使い、海外不動産市場に関する情報をチェックしてみましょう。

例えば、売却したい不動産と同じエリアで売りに出されている物件よりも、あなたの販売価格が高くならないように調査するなど、エージェント任せにせず、自分でもある程度マーケティングを行い相場を把握しておくことが大切です。

2.不動産のユニークなセールスポイントを見つける

どんな人があなたの不動産を買うべきでしょう?

不動産の購入意欲がある人はどんな物件を探していますか?

その人はリタイヤ後の物件を探しているのでしょうか、それとも夏休みなど短期滞在用の不動産を探していますか?

もしくは、あなたの不動産は投資に最適であり、その不動産を所有することで良い賃貸収入を得ることができますか?

このような事柄を念頭に置いた上で、あなたの不動産を購入してくれる人をイメージし、そのターゲットへ向けたセールスポイントを構築しておきましょう。

3.海外不動産に強い専門家を雇う

この段階で、海外の不動産売却に精通したエージェントを探しましょう。海外の不動産市場にネットワークを持っていることはもちろん、オンラインマーケティングなどにも熟知しており、不動産購入者がどのルートを頼って購入するか、ということを確実に理解しているエージェントを選ぶことが大切です。

4.誰が見ても魅力的な不動産に見えるよう工夫を凝らす

あなたの海外の不動産を購入する人は日本人とは限りません。異なる文化を持つ人々が見て、あなたの不動産が魅力的に映るかどうか客観的に見ることが必要です。

第一印象がアップするよう家具の配置を変えるなど、できるだけ広々とした雰囲気を感じさせるように努めましょう。以外かもしれませんが、同じ物件でも演出次第で、売却につながる場合と、そうでない場合になることがあります。

5.エージェントが気持ちよく働けるよう気を配る

一旦、エージェントに売却を依頼したら、まず、エージェントの話をきちんと聞くように心がけましょう。また、購入希望者との交渉中に、突然、不動産の販売価格を最初の取り決めより上げようとしたり、売却を急がせたりしないことが重要です。

海外の不動産市場において、ほとんどの場合買い手は多くの不動産の中から購入物件を検討しており、彼らに決定権があることを忘れないでください。

エージェントはなるべく速やかに、且つ、皆が納得する価格で不動産の売却を完了するよう働いています。そのようなエージェントと購入希望者の間の摩擦を起こさせるようなことは避けるように努めましょう。

6.取引の早期終結のために家具を使う!?

あなたの不動産を買いたい、という意志を持っている方に対する最終バーゲンツールとして家具を使ってみてください。

例えば、あなたは不動産を売却する時に、備え付けの家具を持ち去るつもりだったとしても、追加コストは要求せずに全ての家具を不動産購入者のために残すと提案してみましょう。ほとんどの場合、購入希望者は、最終決定のために背中を押してくれる理由が欲しいのです。

また、多くの購入者は、最終決定の際、不動産所有者がエージェントとともに立ち会っている場合に即決する傾向にあります。エージェントは取引のステップごとに、不動産所有者であるあなたがどう行動するべきかアドバイスしてくれますので、なるべくそれに従っていきましょう。

海外の不動産を売却した時にかかる税金は?

続いて海外不動産の売却により、どのような税金がかかるかを説明していきます。

海外の不動産でも日本で税金が課せられる

海外に不動産を所有する際、自己使用だけならば譲渡に対する課税だけが現地国でかかり、日本で課税されることはありません。

しかし、日本に住んでいる人が海外の不動産を売却したことで譲渡益を得た場合は、課税対象となるため注意が必要です。この譲渡所得は、譲渡収入金額から取得費や譲渡費用を控除した金額です。

譲渡所得に対する税金額は他の所得と分けて分離課税により算出されますが、不動産の所有期間により税率が異なります。

5年以下の所有の場合は「短期譲渡所得」となり、譲渡所得×39.63%(所得税及び復興税30.63%、住民税9%)が課せられます。

一方で5年間を超えて所有した不動産の場合は長期譲渡所得で、譲渡所得×20.315%(所得税及び復興税15.315%、住民税5%)となります。

外国税額控除の適用が受けられる

日本居住者の国外所得について、不動産所在地国の法令で所得税などが課税される場合、日本と、その外国の双方で二重に所得税が課税されることになります。

この国際的に起こる二重課税を調整するため、一定額を所得税額から差し引く「外国税額控除」を」受けることができるため、不動産を売却した年分の確定申告の際には忘れずに手続きを行いましょう。

不動産売却にかかる不動産所在地国による課税

最後に、海外不動産売却にかかる税金や諸費用について、マレーシアとカリフォルニア州における留意点を挙げてみたいと思います。

キャピタルゲイン税が売却のポイントになるマレーシア

マレーシアで不動産を売却する際、気をつけたいのが「キャピタルゲイン税」の税率です。これは、不動産売却時の価格から購入時の価格を差し引いた利益があった場合にかかる税金で、「不動産譲渡益税(RPGT)」と呼ばれています。参考例として、3,000万円で購入した物件を4,000万円で売却した場合は、利益の1,000万円に対して税率がかかります。外国人が個人で購入した、5年未満の保有物件では30%の税金がかかり、この場合は300万円がキャピタルゲイン税となります。

ただし不動産取得後6年目以降であれば税率は5%と低くなるため、物件の保有年数によって得られる利益が大きく異なります。売却のタイミングについては慎重に検討しましょう。

売却時の方がお金がかかるカリフォルニア州

アメリカでは物件購入時よりも、売却する時の方が諸経費や税金がかかります。税額は州によって違いますが、今回はカリフォルニア州で物件を売却する際にかかる主な諸経費や税金を紹介しましょう。

まず、エージェントへ支払う手数料は売却価格の7~10%が目安となります。さらに、「エスクロー費用」として売却価格の約6%がかかります。カリフォルニア州の「キャピタルゲイン税」は不動産の所有期間によって異なり、短期(所有1年未満)の場合は10%~35%、長期(所有1年以上)では15%。これは売却時、カリフォルニア州に居住していない場合に課せられるので注意してください。

ただし先述した通り、日本の居住者がアメリカで不動産を売却し、売却益を得た場合は課税の対象となりますが、アメリカで既に支払った税額は外国税額控除ができるため、二重に課されることはありません。

また、アメリカ非居住者が不動産を売却する場合に「連邦源泉税(FIRPTA)」も課せられます。売却価格の10~15%となっています。

まとめ

以上、海外不動産の一般的な売却の流れからポイント、売却時にかかる税金や諸費用について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

海外の不動産売却時には、不動産会社やエージェントと共にスムーズな取引ができるよう、売却の流れや注意点を知っておくことが大切です。

また、売却時には税金や諸費用がかかるため、不動産所在国はもちろん、日本での法令に従う必要があります。

SEKAI PROPERTYは現地日系企業と複数提携し、常に新しい情報を入手しています。海外不動産の売却を検討している方はお気軽にお問い合わせください。