2020-01-20
次世代エリア「バンサーサウス」/マレーシアエリアガイド
- Advice
再開発により大規模なオフィスビル群や高級コンドミニアム、ホテル、商業施設が立ち並ぶバンサーサウス(Bangsar South)。そのレストランやカフェはFacebookやInstagramを通じて感度の高い人達に広まり、クアラルンプールにおいて最も進化しているエリアのひとつとして注目されているエリアです。高級住宅エリアで有名なバンサーの南方に位置し、日本人が多く在住するミッドバレーにも近く、買い物や交通の利便性の良い綺麗なこの街は多くの関心を集めています。
1 バンサーサウスとは
バンサーサウスは、ミッドバレーから南西に1キロほどの高台にある複合施設です。観光ガイドやSNSでは、お洒落なカフェやレストラン、ルーフトップのインフィニティプールのある眺めのいいホテルなどが紹介されていますが、飲食店や商業施設が国際色豊かに発展してきた理由は、このエリアに外資系企業が多く集まっているためです。そのため、昼間は多くのビジネスパーソンで賑わっている大人の雰囲気を持つエリアです。
2 バンサーサウスの特徴
2-1 近年急成長のエリア
バンサーサウスの再開発は、欧米人や富裕層が多く住む高級住宅エリア「バンサー(Bangsar)」の開発を手がけた企業が中心となって行われました。外国人駐在員が多く住むバンサーに近いことや、LRTケラナジャヤ線やバスが通り高速道路にもアクセスがよいためです。さらには、マレーシア政府によって指定された「マルチメディア・スーパーコリドー(MSC)」という免税策がとられている特区のため、ITインフラも整備されており外資系企業にも人気が高いことも、近年急速に発展した要因のひとつにもなっています。
2-2 先端のものが集まるトレンドエリア
2007年に再開発が始まったバンサーサウスは、働く人が急速に増え今ではおよそ25,000人と言われています。人口の増加に合わせて、レジデンスやホテルのほか、KL Gateway Mallをはじめとする先進的で最先端の商業施設がここ数年で次々に誕生しました。その中にオープンしたレストランやカフェ、アパレルショップや雑貨店は、流行に敏感な若者をはじめ感度の高い人達の関心を集めています。ちょっと人には教えたくないけど、もっと知りたい街。そんな魅力の詰まったエリアです。
一方でこのエリア、元はローカルなエリアを切り抜いたように再開発されました。そのためインド人街やモスクが隣接していて、時間によってはお祈りの声が響き渡る場所もあります。モスクに近いホテルに滞在した方のレビューをのぞくとその良し悪しに触れられますが、個人的には近代的な建物に囲まれていながらも、すぐ隣にあるローカルとのギャップを感じることもできるクアラルンプールらしさのある良い環境だと思っています。
2-3 通勤で便利なアクセスの良いエリア
バンサーサウスはGateway Universiti 駅もしくはKerinchi 駅の両方から連絡通路があり、高台のコンドミニアムエリアへのアクセスも便利です。特にUniversiti駅直結のKL Gateway Residence には多数の日本人が住んでいます。大型のスーパーマーケット(Village Groser)や雑貨やアパレルショップが入るKL Gateway Mallが目の前にあるうえ、KL sentral とKLCCにモノレール1本で行けるのは生活をする上でとても利便性が高く、 日本人が多く通勤するシャーアラムまでも車で近いのも特徴です。
Universiti 駅からKL Gateway Mallまでは目と鼻の先です。
3 バンサーサウスの主な商業施設
the SPHEREの店内。この日は、物作りのイベントが行われていました。
3-1 Nexus(ネクサス)
食と健康をコンセプトに掲げたフード専門のモールです。日本食のお店をはじめ、オーガニックのお店やベジタリアン向けのお店、ムスリム向けハラル認証のお店など、外資系企業が集まる国際色豊かなバンサーサウスらしい飲食店が軒を連ねています。
またネクサスの中には、この界隈で有名なナーサリー(保育園)があり、隣接するインヴィート レジデンス住む駐在員の子供が通ってたりしています。綺麗で良い環境ですが、費用もそれなりにお高いです。
3-2 Invito Hotel & Residence(インヴィート ホテル&レジデンス、旧Capri by Fraser)
バンサーサウスのアイコンのひとつであるこのホテル&レジデンスは、クアラルンプールを一望できる屋上のインフィニティプールとバーラウンジが特徴です。プールには珍しくカーテンで仕切られるプライベートジャグジーもあり、カップルもファミリーも楽しめます。キッチンの付いているコンドミニアムタイプの部屋に宿泊できるので、ショートステイでもロングステイでもコストパフォーマンス良く滞在できるお勧めスポットです。
3-3 the SPHERE(ザ・スフィア)
バンサーサウスの中でも話題の飲食店が集まる「ザ・スフィア」。滝や川、広場や丘をイメージした造形がお洒落です。日本風カフェの「Sunbather Coffee」や、自家栽培や地元の野菜や果物で作るスムージーを提供する「The Farm Foodcraft」など、トレンドに敏感な人たちで賑わう飲食店のほか、地下にはイオンマックスバリューが入っており、日本食材や雑貨の品揃えも豊富です。また隣接するVEホテルや道路の向かいのNexusに歩いて行ける連絡通路もあり移動も便利です。
連絡通路があるので、交通量が多い道路を渡る必要がありません。
4 本当の地名はカンポンクリンチ!?
4-1 歴史と文化を尊重し再改称。不動産への影響を懸念する声も
バンサーサウスという名称は通称ではなく、再開発が開始された直後の2008年に認められた正式名称でした。しかし2019年1月、元の地名である「カンポンクリンチ」に再改称されました。
カンポンクリンチは、100年以上前にインドネシアからの移民が定住したエリアです。インドネシアに由来のあるクリンチという言葉とマレー語で村や集落を意味するカンポンが組み合わさった歴史ある名前で、現地住民に親しまれてきました。再開発により村と呼ぶには相応しくなくなってしまったかもしれませんが、歴史や伝統文化を尊重しようという政党の声を受け今回の再改称に至っています。
高級住宅エリア「バンサー」のイメージを借り、急速な発展で注目されていた「バンサーサウス」という名称の持つ先進的なブランドイメージが失われてしまうことに、懸念を示す不動産事業者もいるようです。
まとめ
今回はマレーシア・クアラルンプールの中でも、お洒落なレストランやカフェ、高級コンドミニアムや高層オフィスが立ち並ぶ複合施設エリア、外国人駐在員や在住の日本人の注目度の高いバンサーサウスについてご紹介しました。住むエリアとして検討するなら、このエリアのアイコンであるインヴィートをはじめ、アパートメントホテルに数日間滞在してみることをお勧めします。落ち着いた大人の雰囲気を肌で感じてみてください。