2022-01-05

ベトナムの不動産に関わる税金は?購入・管理・売却に分けて解説

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ベトナムでは2015年に住宅法が改正され、外国人でも不動産を購入できるようになりました。日本人も不動産の購入ができますが、国内不動産同様に不動産の購入・管理・売却時に税金が発生します。ベトナムの不動産に関連する税金について解説します。

ベトナム不動産の購入時にかかる税金

『ベトナムで不動産を購入する際にかかる「付加価値税」「不動産登記税」「修繕積立金」について解説します。』

付加価値税(VAT)

不動産の売買契約時に、購入代金に対して10%の付加価値税が課税されます。付加価値税とはベトナムにおける消費税のことで、不動産のみならず商品やサービスの購入時に、購入代金に対して10%の税金が発生します。通常は不動産の販売価格に含まれているので、別途納める必要はありません。
付加価値税は通常買い手が負担する税金ですが、売り手が負担する場合がありますので、契約時に税金の負担について確認が必要です。

不動産登記税

ベトナムでは、土地や住宅などの不動産を購入すると、財産の取得に関する不動産登記税が課税されます。日本における登録免許税と同種の税金と考えれば問題ありません。正確には「ピンクブック」と呼ばれる所有権利書を取得するための費用であり、付加価値税同様に不動産の購入代金に含まれています。
税額は地元の人民委員会が公表している価額表に基づく価額の0.5%です。また、不動産登記税は契約時ではなく不動産の引渡時に発生します。

修繕積立金

修繕積立金は英語では「メンテナンスフィー」と記載され、住宅等の建物の売買取引契約時に共有部分の保守や修繕に備えて積み立てるお金です。販売価格に対して、2%の修繕積立金がかかる場合があります。厳密には税金ではありませんが、不動産の購入によって発生する費用であり、原則として一括払いです。
ただし、住宅によっては修繕積立金の支払い義務がない場合もありますので、契約時に修繕積立金の有無について確認しておきましょう。


ベトナム不動産を管理・賃貸付けする際にかかる税金

『ベトナムで不動産を管理・賃貸付けする際にかかる「個人所得税」「営業登録税」「固定資産税」について解説します。』

個人所得税

ベトナムでは、不動産を貸し出す場合は賃料収入に対して5%の個人所得税(PIT)が課税されます。ただし、月の賃料収入が840万ドン(約月額4.1万円)以下、もしくは一年間で1億ドン(約50万円)以下の場合は所得税の納税義務がありません。
また、ベトナムでは、住宅の減価償却はできないので、実際の課税所得が高くなる傾向にあります。
加えて、ベトナム非居住者が不動産を保有する場合には賃料収入に対して、5%の付加価値税が課税されます。ただし、個人所得税同様に賃料収入が一定以下の場合には付加価値税の納税義務はありません。

営業許可税

営業許可税は生産・事業活動を行う組織や個人に対して、登録資本金額、または年間売上額に応じて課税されます。個人に対する営業登録税は年間売上高により3つのレベルに分かれています。
レベル1:年間の賃料収入が5億ドン超の場合は100万ドン
レベル2:年間の賃料収入が3億超~5億ドンの場合は50万ドン
レベル3:年間の賃料収入が1億~3億ドンの場合は30万ドン
ただし、法人で不動産を管理している場合には税率が異なります。
ちなみに営業登録税は毎年1月30日までに納税することになっています。

固定資産税

ベトナムでは日本の固定資産税に該当する税金はありません。
固定資産税とは地方自治体が賦課する税金であり、土地や住宅を所有する人に納税義務が発生します。固定資産税は固定資産評価額に税率をかけて算出しますが、ベトナムでは固定資産評価額が公表されておりません。。
一方で、共産主義国であるベトナムでは「土地は国家が所有する」という考え方から、ベトナム人に限り、土地について地元の人民委員会が定めた公示価格が公表されており、これに基づいて「土地税」を支払います。


ベトナム不動産の売却時にかかる税金

『ベトナムで不動産を売却する際にかかる「個人所得税」「公証費用」「印紙税」について解説します。』

個人所得税

個人が不動産を売却する際には売却価格に対して2%の個人所得税が課されます。個人所得税の支払いは不動産の売買契約の締結時に行います。ただし、売り手が非居住者の場合には源泉分離課税となります。売却価格に対して2%が源泉徴収され、この、源泉徴収によって納税が完了します。

公証費用

ベトナムでは、売買契約を締結し、売買契約書及び所有者変更届に署名するときに売主と買主の両者が公証役場に行く必要があります。公証には公証費用がかかりますが、費用は取引金額によって異なります。相場は売却価格の0.06%程度ですが、平均して5万ドン~7,000万ドンの公証手数料が発生します。これは日本円で246円〜34万円です。

印紙税

ベトナムでは、不動産売買などの経済取引に伴って売買契約書を作成する場合には文書に印紙税が課税されます。不動産売買の場合は不動産売買契約書に印紙税が課され、税率は不動産の売却価額に対して、0.5%となります。


ベトナム不動産にかかるその他諸経費

『ベトナム不動産にかかるその他諸経費「コンサルタントフィー」「視察費等」について解説します。』

コンサルタントフィー

ベトナムの不動産投資についてコンサルティング会社にコンサルティングを依頼することで発生するフィーです。フィーは会社によって異なり、単なる不動産の仲介から現地の不動産情報の提供などによって上下します。2015年の住宅法改正によって外国人に不動産投資が解禁された頃から不動産関連のコンサルティング会社が増えています。日本人であれば、日系のコンサルティング会社を利用したいところですが、日系の会社は多くありません。

視察費等

実際にベトナム不動産の視察に行く場合は、別途視察費用がかかります。時期にもよりますが、片道で2万5,000円程度、往復だと5~6万円程度になります。さらに現地での食事代、ホテル代などが必要になります。全体的に日本よりも物価は低いですが、投資対象の不動産を決めるためにある程度まとまった日数を確保するとよいでしょう。


まとめ

ベトナムでは2015年の住宅法改正以来、外国人による不動産投資が活発化しており、魅力的な市場が広がっています。しかし、外国人であってもしっかりと税金を納める必要があります。ベトナムなど外国の税制は日本人にとってはわかりにくいので、事前にしっかり確認しておきましょう。特にベトナムでは2013年の土地法改正、2015年の住宅法改正、不動産事業法改正など不動産関連の法律が頻繁に改正されていますので、常に最新の情報を確認することが大事です。

ベトナム不動産に関して相談する

【参考文献】

URL :
①ベトナム/ベトナム不動産に関する法令と税務上の取扱
https://www.yamada-partners.gr.jp/news/vietnam-real-estate-laws-tax/

②Real Estate Guide Vietnam
https://www.multilaw.com/Multilaw/RealEstate/Real_Estate_Guide_Vietnam.aspx

③3 useful FAQs for foreign buyers in Vietnam
https://www.savills.com.sg/blog/article/171816/vietnam-eng/3-useful-faqs-for-foreign-buyers-in-vietnam.aspx

④税金・諸費用 ベトナム不動産投資
https://papamahalo.com/vietnam-fudosan/cost/

⑤ベトナムの不動産を「運用」する|運用のコツや税金
https://vetterbusiness.com/?p=12070

⑥ベトナムの不動産関連情報
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/kokusai/kensetsu_database/vietnam/page5.html

⑦Buying Property in Vietnam as a Foreigner 2021
https://rentapartment.vn/buying-property-in-vietnam-foreigners/

⑧ベトナムの法律・税制
https://gre21.com/realestate/tax

⑨税制 ベトナムアジア
https://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/invest_04.html

⑩Vietnam Property Taxes: Foreign Buyer’s Guide
https://www.asiapropertyhq.com/vietnam-property-taxes/

⑪コンドミニアムの税制・諸費用
https://aikodanang.online/500/

⑫ベトナムへの航空券を検索する
https://www.expedia.co.jp/Destinations-In-Vietnam.d194.Flight-Destinations