2021-04-25

海外不動産投資では出口戦略をどう立てる? 売却で利益を出すためのポイントを解説

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不動産投資を成功させるには、事前に不動産売却の計画を立てた上で購入を進めることが重要です。「いつ、どうやって売却するか」という購入後の計画は、投資物件の見極めと同じくらい大切なポイントと言えます。

このように売却時の計画を立てておくことを、「出口戦略」と言います。不動産投資を行っている人は聞いたことのある用語かもしれません。消防士が火に包まれた建物の中に突入する前に、どこに「出口」があるかを確認するのと同じように、不動産の取引という「入口」に入る前に「出口」を想定することは、投資の成功に大きく寄与します。

簡単に言えば「出口=売却」です。「入口=購入取引」の時点で不動産の売却までを考えておかないと、最終的な物件の売却で失敗してしまう可能性も高くなります。大切なことであるにも関わらず、出口戦略を重視する投資家は意外に少ないと言われています。不動産投資のリスクは複数あるため、見込み収益が大きい物件に投資できても、いつ損失を被るかはわかりません。

不測の事態が起きても、「出口」の観点を持って投資することで、損失を最小限に抑え、収益を最大化できます。出口戦略を成功させるためには、売却も想定した物件選びが重要です。海外不動産投資の出口戦略について、ポイントを解説します。

考慮したい出口戦略に関する事項

不動産投資の出口戦略に関するポイントとしては以下のような項目が挙げられます。物件購入の前に、事前に情報を収集し、投資家自身で一定の基準を決めることが重要です。

●物件を保有する期間
●最終的な売却先のターゲット(売り先の想定)
●物件購入価値と売却価格
●物件のコンディション
●当該国や地域における不動産物件の需要と供給
●物件の立地

物件を売却するのに最適なタイミングはいつ?

不動産投資の収入には、家賃収入のインカムゲインと物件売却益のキャピタルゲインがあります。キャピタルゲインを最大化するためには、いつ物件を売却するのが最適なのか気になる人もいるかもしれません。海外不動産投資で物件を売却するタイミングについて解説します。

運用開始から5年経過後

日本国内で不動産を売却すると、売却益に対して譲渡所得税が課税されます。日本在住の投資家は、海外不動産を売却するケースでも、日本の税制に基づいて譲渡所得税が課税されるので要注意です。
日本の税制では、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の物件から得られた利益を短期譲渡所得、5年を超える物件から得られた利益を長期譲渡所得と分類しており、税率は以下のように異なります。

●短期譲渡所得(5年以下)…税率39.63%
●長期譲渡所得(5年超)…税率20.315%

つまり、運用開始から5年以上経過したタイミングで売却した方が、税制的に有利です。不動産価値が短期間で想像以上に値上がりするなど特別な理由がない限り、長期譲渡所得となる5年以上が経過した段階で売却することお勧めします。

海外不動産は長期保有も有効な選択肢

日本の不動産は新築時が最高価格であり、築年数が経過するごとに不動産価値は下がっていくのが一般的です。長期にわたる経済成長の停滞に加え、人口減少に伴い住宅需要が縮小している日本での不動産長期保有は、損益分岐点の見極めが非常に難しいと言えます。

しかし、マレーシアやカンボジア、フィリピンといった東南アジアの国々では、不動産価値が上昇していく可能性が高いと考えられます。東南アジアの国々では、今後の長期的な経済成長や人口増加によって、賃貸需要が高まるためです。

このような国や地域の不動産であれば、物件の長期保有によるインカムゲインと、売却によるキャピタルゲインの両方を狙えます。

売却で確実に利益を出すためのポイント

日本では、不動産の価値は時間経過とともに下がるため、どうすれば物件の売却で利益を出せるのか、疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。海外不動産投資の物件売却で利益を出すためのポイントについて解説します。

物件の見極めを重視する

「不動産価値が上昇したタイミングで売却したい」と考える投資家は多いものです。しかし、海外不動産の市況について正確な予想を立てることは、専門家でも難しいと言えます。不動産の値上がり・値下がりに関する情報をキャッチアップすることも大切です。しかし、市況の情報は参考程度にとどめるのが無難です。

海外不動産の売却で確実に利益を出すためには、不動産市況の把握以上に、購入時に良い物件を見極めることが重要になります。良質な物件であれば、市況が悪い時期でも十分な売却益を期待できるからです。もし物件が悪ければ、市況が良い時期でも満足な価格で売却できない可能性が高くなります。

海外投資家向けの高級コンドミニアムなどは、実需価格以上の値段が付いていることも少なくありません。周辺相場よりも高過ぎる物件を購入してしまうと、満足な価格で売却できないこともあるので要注意です。

エージェントを慎重に選ぶ

不動産に関する情報はネットや書籍、不動産会社が実施するセミナーなどを通して入手できます。しかし、それらの情報の中には、誤解を招くようなものも少なくありません。疑問を感じた情報については、不動産会社に質問するほか、自ら正確性を検証することも重要です。とくに海外不動産の情報に関しては、その国に進出済みの不動産会社から情報収集することがポイントになります。

web検索で得られる情報を聞くのでは、投資家が自ら情報検索するのとさほど変わりがありません。各種セミナーや不動産協会などを通じて、その国に精通したエージェントから鮮度の高い情報を入手するのが重要です。

また、できるだけ多くの不動産投資家や専門家と会い、コネクションを構築することも大切です。そのような人的ネットワークから有益な情報を得たり、サポートを受けたりすることが効果的な不動産投資につながります。

投資先の国でかかる税金を把握する

先に解説した譲渡所得税は、日本に限らず投資先の国でも発生するケースがあります。日本と租税条約を結んでいる国であれば、支払い済の税金が控除されるので二重課税にはなりません。

しかし、基本的には税率が高い方の国で譲渡所得税を支払います。投資先の国で課税される税率について、事前の確認が大切です。

出口戦略に関わる海外不動産投資のリスクとは?

物件を購入する際に出口戦略を立てていたにも関わらず、それらの戦略を阻害するようなイレギュラーが発生するケースもあります。たとえば以下のような事象です。

●居住者が集まらず、見込んでいた賃貸収入が得られない
●市場での賃貸需要が低下する
●管理費が予想外に増える
●管理が行き届いていないために物件価格が減少する

上記の事象以外でも、海外不動産投資で避けて通れないのが為替リスクです。不動産を購入した国の通貨価値が下落すれば、不動産売却時に為替差損が生じます。逆に通貨価値が上昇すれば為替差益を得られますが、為替の動向が物件の売買価格に大きな影響を与えることは考慮しておきたいところです。
また、東南アジアなどの新興国では、不動産マーケットが成熟してない国も少なくありません。短期間で賃貸住宅の供給過多が発生すると、急激なスピードで値崩れしてしまう可能性もあります。
そのような国々で不動産投資を行う場合は、信頼できるエージェントからサポートを受け、リスクを把握してから購入を検討するのが重要です。

まとめ

海外不動産投資では、常に予想できないリスクが伴うため、想像以上に利益が上がる場合もあれば、事前に想定していた結果が得られないケースもあります。
物件の売却に関しては「もう少し待てば、もっと利益が得られる」と考えて売却を遅らせる戦略が奏功することもあれば、逆に損を出すこともあります。
海外不動産投資では、「売り時よりも物件の見極めを重視する」「事前の情報収集を綿密に進める」などのポイントがとても重要です。「出口戦略」を考慮に入れることで、海外不動産投資の成功に近づけます。

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